にしむら皮フ科クリニック院長と看護師長が不定期でお送りします。

アーカイブ 『 プロアクティブ療法 』

 2025.05.10(土)

アトピー性皮膚炎の新プロアクティブ療法

本日は、先日行った

福井県内科医会講演会の内容の第3弾

アトピー性皮膚炎治療その2です。

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子供の重症アトピーの数%、

大人の重症例の2〜3割程度は、

プロアクティブ療法(計画的外用療法)でも

寛解(皮疹ゼロ)に導けません

そういった方を対象にした新しい治療法、

新プロアクティブ療法を紹介しました

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下図は、新プロアクティブ療法

複雑な治療過程を簡単に示した模式図です。

しかし、簡単といっても、

皮膚科医でもなければ

何のことが分かりませんよね

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要するに、

生物学的製剤デュピクセント(デュピルマブ)

を使用してプロアクティブ療法(計画的外用療法)

を完成させる治療法です(上図)。

この治療で最も大切なのは、

計画的外用療法です。

デュピクセントはあくまでも、

補助治療薬です。

ある基準に達成すれば

デュピクセントを終了する必要があります。

そこからはプロアクティブ療法のみで

長期寛解を維持していきます。

当院では、デュピクセント終了後多くの方が、

何年も再燃(再発)していません。

高額な治療ですから、

ワンチャンスを活かして

長期寛解を目指してもらいたいと思います

 

 西日本の医療関係者向けに、デュピクセントによるアトピー性皮膚炎治療

WEBセミナーを開催します。詳しくはサノフィ/リジェネロンの担当者にお問い合わせください。

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(院長)

〠918-8105 福井県福井市木田3丁目2605  にしむら皮フ科クリニックのホームページ

  2025/05/10   西村 陽一

 2025.04.18(金)

福井県内科医会講演会その2 アトピー性皮膚炎治療

本日は、先日行った

福井県内科医会講演会の内容の第2回目、

アトピー性皮膚炎についてです。

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1953年のステロイド外用剤登場以降、

多くのアトピー性皮膚炎治療薬

開発されて来ました(下図)。

特に2018年の生物学的製剤

デュピルマブ承認からの進歩が著しい

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講演では、これらの治療薬を使っての

①プロアクティブ療法、②新プロアクティブ療法、③光線療法+②

を解説しました。

今回は、①プロアクティブ療法(下図)についてお話します。

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特にこの治療で大切なのところは、

最初の1〜2週間の寛解導入です。

ここで皮疹ゼロ(見ても、触ってもゼロ)

にできるかどうかで成否が決まります(下図)。

ここが一番大切!

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そして、その後は、

計画的に

外用頻度、外用量、外用レベルを調節しながら

漸減中止していきます。

この治療を知っている先生が少ないため、

他の医療機関で、

勝手に外用を中断させられることが多いんです

こんなに綺麗なのになんで塗っているの?

と思われるようです。

今でも結構ありますが・・

この治療法は、

今の痒みや湿疹を治すためだけでなく、

完全寛解(治す)を目指す計画的治療なんです

次回は、プロアクティブ療法でも改善しない方

(重症の大人で約30%、子供で数%)に行う

新プロアクテブ療法についてお話します。

(院長)

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  2025/04/18   西村 陽一

 2025.03.09(日)

アトピー性皮膚炎の計画的治療

本日は、アトピー性皮膚炎(以下アトピー)

計画的治療についてです。

まず、初診の患者さんが来られたら、

血液検査(IgE, TARCなど)、臨床所見(EASIなど

などで重症度を数値化します。

この数値を正常にするのが目標⬜︎です。

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上写真の患者さんは最重症です

彼の皮膚の中では、下図のように炎症細胞が浸潤して

各種サイトカインを放出し、

炎が激しく燃え盛っているような状態です。

数値化は、この炎の勢いを目に見える形にしたものと言えます。

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この重症度の数値に従って

外用レベル、外用量を決定して

治療目標に向かって治療をスタートします

炎症細胞を皮膚から追い出し、炎症の炎が鎮火されるまで

毎日、ほぼ全身に外用をします。

なぜ全身に塗るかというと、

アトピーの皮膚は、一見正常に見えても

必ず炎症細胞が浸潤しているからです(下図)。

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ここを残しておくと

アトピーはすぐ再発して良くなりません

最初の1〜2週間で皮疹を

ほぼ寛解(皮疹ゼロ)にできるかどうかが、

この治療の成否のカギです。

ですので、最初の1〜2週間は毎日塗ります。

その後は、臨床症状(EASIなど)血液検査(TARCなど)

の改善に従って、計画的に

外用頻度やレベルを落としていきます。

2〜3週間に1度の外用頻度で、皮疹ゼロまで行ければ

小児であれば治療終了です

大人はまだ続きますが・・

ところで、この患者さんは、

すごく良くなりましたが、

結局皮疹ゼロにはできませんでした(下写真)

ブログ2.png

このように、重症の患者さんでは、

治療を完璧に行なっても、

寛解(皮疹ゼロ)にできない方が、

小児で1割、大人で3割ほどおられます。

よって当患者さんは、完全寛解へ導くために、

生物学的製剤 デュピクセントを開始しました(下写真)

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これにより、皮疹ゼロ

血液データも大幅に改善しました

さらに、各種スコアおよび血液データが

正常になる状態まで行います。

これを深い寛解状態といいます。

そこまで達成されれば、

大人でもそう簡単には再発しません

デュピクセントのすごいところは、

使用した方の9割以上が

この深い寛解状態を得られるところです。

どうです?

アトピー治療って計画的&定量的でしょう

適当に痒いところに、適当な頻度で、

適当な量を塗っていませんか?

アトピーが改善しない方は、

計画的に治療しましょう。

(院長)

*上記の治療は、定期的な通院が必須です。よって、小児はほぼ全員計画的に行っていますが、大人は全員に行なっているわけではありません。

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  2025/03/09   西村 陽一

 2024.11.20(水)

アトピー性皮膚炎治療の基本スケジュール

アトピー性皮膚炎の基本治療は外用(塗り薬)です。
 
通常初診で来られた方は、
 
診察による重症度(EASIなど)から判断し、
 
外用レベル、外用量などを決定します。
 
その時血液検査(特に成人)も同時に行います。
 
1週間毎日外用して再診し、
 
皮疹の改善状況及び血液データより再評価し、
 
外用レベル、1日外用量、外用頻度などを決定します。
 
その後、皮疹の状態や血液データ(TARC)などから判断し、
 
外用頻度などを徐々に漸減しています。
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例えば、「血液検査の結果は、TARC(タルク)正常で
 
皮疹の悪化もないので、
 
外用レベルはXXXで、1日外用量は◯ gで、
 
外用頻度は5日に1回から週1回に落としてください。」
 
とこんな感じです
 
もちろん、外用部位によっても細かく設定します。
 
頭、顔、体、苔癬化の強い部位(重症部位)など・・・。
 
最終的には、皮疹がなく、血液検査正常で、
 
外用も必要がないレベルになれば
 
完全寛解とみなし終了です
 
どうです?科学的でしょ?
 
以上をタイトコントロールと言います。

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本気で治したい方はこの治療です
 
小児は、outgrowの可能性が高く、
 
アレルギーマーチ(将来の食物アレルギーや喘息の発症)
 
を抑えるためにも
 
ほぼ全員この治療を行います
 
大人も、本気モードの方はこの治療を行っています。
 
適当に保湿して、
 
適当にかゆいところに薬を塗っていませんか?
 
それでは、いつまで経ってもアトピーは良くなりません
 
だって、適当なんですから・・。
 
(院長)

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  2024/11/20   cmsadmin

 2023.11.21(火)

小児アトピー性皮膚炎のデュピクセント治療

成人のアトピー性皮膚炎(以下アトピー)の治療は、
 
デュピクセント(デュピルマブ)の併用による
 
新プロアクティブ療法(下図)によって、
 
どんな重症アトピーでも
 
寛解(症状ゼロ)に持ち込めるようになってきました
 
それも極めて安全にです
 
さらに、デュピクセント中止後も
 
3年以上寛解を維持している方が大勢います
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以下のブログでも詳しく述べています。
 
小児の場合は、プロアクティブ療法単独
 
寛解になる方がほどんです
 
しかし1割以下ですが、寛解に持ち込めない
 
難治性アトピーの方もおられます
 
こういった難治例に、今年9月より
 
デュピクセントの年齢制限が解除され、
 
生後6ヶ月より使用できるようになりました
 
当院でもすでに、10歳以下の小児5人が、
 
デュピクセント治療を開始しています。
 
これでもう、アトピーで寛解できない症例は
 
ほぼゼロです
 
ここ10年のアトピー性皮膚炎治療の進歩は凄まじい
 
(院長)
 
*デュピクセントは、真面目に定期的に通院している方のみ適応です。ガイドラインでは、その期間は6ヶ月以上とされています。不定期な通院や初診の方は、処方できません。まずは、真面目に通院してください。

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  2023/11/21   cmsadmin