にしむら皮フ科クリニック院長と看護師長が不定期でお送りします。

アーカイブ 『 生物学的製剤 』

 2025.12.21(日)

アトピー性皮膚炎とJAK阻害剤

先日、

あるメーカーのJAK阻害剤(内服)の

講演の座長をしました。

それで、

私がJAK阻害剤(内服)を推奨していると

勘違いされた方がおられたようです

私は、以前から言っているように、

アトピー性皮膚炎には

基本的にJAK阻害剤(内服)は使いません。

理由はいろいろあります。

たとえば、

米国皮膚科学会ガイドラインでは、

次のように記載されています[1]

『Upadacitinib and abrocitinib are 2 selective JAK inhibitors 〜They are approved for use in moderate-to-severe AD patients who have failed other systemic therapies (immunosuppressants, corticosteroids, antimetabolites, and injectable biologics) or when they are inadvisable. As such, in most circumstances, these medications are not considered to be first-line systemic therapy. 』

(訳)ウパダシチニブとアブロシチニブ(経口JAK阻害剤)は、他の全身療法(免疫抑制剤、コルチコステロイド、代謝拮抗薬、および生物学的製剤)が上手くいかなかった(あるいはそれらの使用が勧められない)中等度から重症のアトピー性皮膚炎患者への使用が認められています。そのため、ほとんどの場合、これらの薬剤は第一選択の全身療法とは見なされません。

それに比べて

生物学的製剤のデュピルマブ(デュピクセント)は、

『Dupilumab is a monoclonal antibody〜It has an excellent safety track record in clinical trials and few major emergent safety concerns after more than 5 years in clinical practice. We surveyed guideline workgroup members as to their favored first-line systemic agent, and all participants favored dupilumab. 』

(訳)臨床試験で優れた安全性の実績があり、臨床診療で5年以上経った後、主要な緊急安全上の懸念はほとんどありません。ガイドラインワークグループのメンバー達に対し、全身療法の第一選択薬として好ましい薬剤について調査した結果、全員がデュピルマブを支持しました。

どうしてこういうコメントになっているかは

ガイドラインをご参照下さい。

ということで、今のところ、

アトピー性皮膚炎に関しては、

デュピクセントイブグリースなどの

生物学的製剤一押しです

それで上手くいかなかった

ケースはほとんどありません

(参考文献)

1. J Am Acad Dermatol. 2024 Feb;90(2):e43-e56.

(院長)

(注)上記の内容は、あくまでも私の個人的な意見です。またそれは、アトピー性皮膚炎治療に限られます。

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  2025/12/21   西村 陽一

 2025.10.08(水)

アトピー性皮膚炎重症化ゼロシリーズ 秋講演第2弾

アトピー性皮膚炎重症化ゼロシリーズ

秋のWEB講演第1弾が本日終了しました

主に西日本地域の皮膚科・小児科の先生方、

メディカルスタッフの方々に向けた完全WEB配信です。

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たばた皮膚科クリニック院長の

田端康一先生には、座長としてご尽力いただき、

誠にありがとうございました。

最近の質問は、4つのアトピーバイオ

(デュピクセント、イブグリース、アドトラーザ、ミチーガ)

の違いや使い分けなどが多いですね。

どう使い分けるか、

それは秘密です

講演で質問してください

そして早速、来週第2弾です

演題は同じですが、内容は少し変えています。

【案内状】20251015Jp.jpg

これから年末まで

ほぼ毎週講演です

(院長)

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  2025/10/08   西村 陽一

 2025.05.10(土)

アトピー性皮膚炎の新プロアクティブ療法

本日は、先日行った

福井県内科医会講演会の内容の第3弾

アトピー性皮膚炎治療その2です。

IMG_0395.JPG

子供の重症アトピーの数%、

大人の重症例の2〜3割程度は、

プロアクティブ療法(計画的外用療法)でも

寛解(皮疹ゼロ)に導けません

そういった方を対象にした新しい治療法、

新プロアクティブ療法を紹介しました

2025.5DUP西日本.001.jpeg

下図は、新プロアクティブ療法

複雑な治療過程を簡単に示した模式図です。

しかし、簡単といっても、

皮膚科医でもなければ

何のことが分かりませんよね

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要するに、

生物学的製剤デュピクセント(デュピルマブ)

を使用してプロアクティブ療法(計画的外用療法)

を完成させる治療法です(上図)。

この治療で最も大切なのは、

計画的外用療法です。

デュピクセントはあくまでも、

補助治療薬です。

ある基準に達成すれば

デュピクセントを終了する必要があります。

そこからはプロアクティブ療法のみで

長期寛解を維持していきます。

当院では、デュピクセント終了後多くの方が、

何年も再燃(再発)していません。

高額な治療ですから、

ワンチャンスを活かして

長期寛解を目指してもらいたいと思います

 

 西日本の医療関係者向けに、デュピクセントによるアトピー性皮膚炎治療

WEBセミナーを開催します。詳しくはサノフィ/リジェネロンの担当者にお問い合わせください。

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(院長)

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  2025/05/10   西村 陽一

 2025.03.09(日)

アトピー性皮膚炎の計画的治療

本日は、アトピー性皮膚炎(以下アトピー)

計画的治療についてです。

まず、初診の患者さんが来られたら、

血液検査(IgE, TARCなど)、臨床所見(EASIなど

などで重症度を数値化します。

この数値を正常にするのが目標⬜︎です。

ブログ.png

上写真の患者さんは最重症です

彼の皮膚の中では、下図のように炎症細胞が浸潤して

各種サイトカインを放出し、

炎が激しく燃え盛っているような状態です。

数値化は、この炎の勢いを目に見える形にしたものと言えます。

2024.5DUP 2.001.jpeg

この重症度の数値に従って

外用レベル、外用量を決定して

治療目標に向かって治療をスタートします

炎症細胞を皮膚から追い出し、炎症の炎が鎮火されるまで

毎日、ほぼ全身に外用をします。

なぜ全身に塗るかというと、

アトピーの皮膚は、一見正常に見えても

必ず炎症細胞が浸潤しているからです(下図)。

ブログ図1.001.jpeg

ここを残しておくと

アトピーはすぐ再発して良くなりません

最初の1〜2週間で皮疹を

ほぼ寛解(皮疹ゼロ)にできるかどうかが、

この治療の成否のカギです。

ですので、最初の1〜2週間は毎日塗ります。

その後は、臨床症状(EASIなど)血液検査(TARCなど)

の改善に従って、計画的に

外用頻度やレベルを落としていきます。

2〜3週間に1度の外用頻度で、皮疹ゼロまで行ければ

小児であれば治療終了です

大人はまだ続きますが・・

ところで、この患者さんは、

すごく良くなりましたが、

結局皮疹ゼロにはできませんでした(下写真)

ブログ2.png

このように、重症の患者さんでは、

治療を完璧に行なっても、

寛解(皮疹ゼロ)にできない方が、

小児で1割、大人で3割ほどおられます。

よって当患者さんは、完全寛解へ導くために、

生物学的製剤 デュピクセントを開始しました(下写真)

ブログ3.png

ブログ3.001.jpeg

これにより、皮疹ゼロ

血液データも大幅に改善しました

さらに、各種スコアおよび血液データが

正常になる状態まで行います。

これを深い寛解状態といいます。

そこまで達成されれば、

大人でもそう簡単には再発しません

デュピクセントのすごいところは、

使用した方の9割以上が

この深い寛解状態を得られるところです。

どうです?

アトピー治療って計画的&定量的でしょう

適当に痒いところに、適当な頻度で、

適当な量を塗っていませんか?

アトピーが改善しない方は、

計画的に治療しましょう。

(院長)

*上記の治療は、定期的な通院が必須です。よって、小児はほぼ全員計画的に行っていますが、大人は全員に行なっているわけではありません。

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  2025/03/09   西村 陽一

 2025.01.27(月)

アトピーバイオの導入用ガイドブックと解説動画の作成

アトピー性皮膚炎の治療は、
 
既に生物学的製剤(バイオ)の時代に入っています。
 
全国では、
 
ものすごい勢いでこの治療法が広がってきています
 
しかし、まだまだ導入できていないクリニックが多いため、
 
導入用の冊子(ガイドブック)を作りました
 
子供用
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大人用
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特に子供用は力作で、
 
イラストもこだわりました
 
医療スタッフが使いやすいように
 
内容も単純明快に作ってあります
 
イラストや内容は、当院師長の意見を大いに取り入れました
 
医師だけで作ると、
 
内容が難しく、つまらないものになりがちですから
 
さらに先日、実際の導入場面を想定した
 
解説動画の撮影も行いました。
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これらの冊子や動画を使って、
 
全国的に導入が進んでいくでしょう
 
今後の問題は、導入後どのようにこの治療薬を使い、
 
どのようにやめていくかです。
 
よく効く薬ですから、導入すれば
 
どんな重症のアトピーも良くなります。
 
しかし、適当に使えば、薬を止める時期や方法がわからず、
 
間違った時期に中止して、
 
すぐにアトピーが再発し元に戻ってしまうでしょう
 
当院ではこの点は、既に解決済みですが、 
 
まだまだそこまで到達で来ていないところが多いようです
 
導入がある程度進めば、
 
今後は導入後のノウハウが話題となってくるでしょう
 
(院長)

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  2025/01/27   cmsadmin

 2024.10.22(火)

アトピー性皮膚炎治療の飛躍的進歩

アトピー性皮膚炎(以下アトピー)の治療は、
 
近年飛躍的に進歩し、
 
ここ数年、新薬が続々と発売されています(下図)
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特にデュピルマブなどの生物学的製剤の出現によって、
 
難治性のものも含めて、
 
アトピーは治せる時代になってきました。
 
しかし、これらの治療薬は、
 
まだまだ十分に普及しているとは言えません
 
例えば、
 
バリシチニブやウパダシチニブなどのJAK阻害剤は、
 
承認施設での使用が推奨されていますが、
 
福井県のクリニックで承認されているのは
 
当院1件だけです
 
デュピルマブなどの生物学的製剤も
 
福井県の多くのクリニックが使用経験すらありません。
  
全国的にも大なり小なり同じような傾向があります。
 
多くの患者さんが、新薬の恩恵に与るどころか、
 
その存在すら知らされていない可能性があります
 
よって、これらの治療の素晴らしさと導入のノウハウを
 
伝えるべく、各地で講演を行なっています。
 
ということで、
 
来週も北海道でアトピー治療の講演をします。
 
といってもWEB配信ですけどね
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(院長)

〠918-8105 福井県福井市木田3丁目2605  にしむら皮フ科クリニックのホームページ

  2024/10/22   cmsadmin