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 2025.03.17(月)

アトピー発症予防に保湿剤は勧められない!

なかなか衝撃的な題でしょ

毎日多くの新生児をもつ母親から

保湿剤の処方を希望されます。

それも、

アトピー性皮膚炎(アトピー)

発症していないのにです。

なぜかと尋ねると、

新生児から保湿をしっかりすれば

アトピーを予防できるからと・・

昨年末に発表されたガイドラインでは、

『現時点においてアトピー性皮膚炎の発症予防に

新生児期からの保湿剤外用は

一概にはすすめられないといえよう.』

と記載されています。

その理由は、下記表のように

1000人以上の大規模研究では

保湿は効果なし、

100〜200人程度の小規模研究では

効果あり、

となっているからです。

保湿とAD.png

      (アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024年より)

賛否両論ですが、

当然、大規模研究の方が信頼性が高いでしょう

ということで、最近は、

この情報をお母さんにもお伝えしています。

しっかり保湿しておけば、

アトピーの予防になるというのは、

正しいとは言えないようです。

(院長)

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(タグ) アトピー性皮膚炎


 2025.03.09(日)

アトピー性皮膚炎の計画的治療

本日は、アトピー性皮膚炎(以下アトピー)

計画的治療についてです。

まず、初診の患者さんが来られたら、

血液検査(IgE, TARCなど)、臨床所見(EASIなど

などで重症度を数値化します。

この数値を正常にするのが目標⬜︎です。

ブログ.png

上写真の患者さんは最重症です

彼の皮膚の中では、下図のように炎症細胞が浸潤して

各種サイトカインを放出し、

炎が激しく燃え盛っているような状態です。

数値化は、この炎の勢いを目に見える形にしたものと言えます。

2024.5DUP 2.001.jpeg

この重症度の数値に従って

外用レベル、外用量を決定して

治療目標に向かって治療をスタートします

炎症細胞を皮膚から追い出し、炎症の炎が鎮火されるまで

毎日、ほぼ全身に外用をします。

なぜ全身に塗るかというと、

アトピーの皮膚は、一見正常に見えても

必ず炎症細胞が浸潤しているからです(下図)。

ブログ図1.001.jpeg

ここを残しておくと

アトピーはすぐ再発して良くなりません

最初の1〜2週間で皮疹を

ほぼ寛解(皮疹ゼロ)にできるかどうかが、

この治療の成否のカギです。

ですので、最初の1〜2週間は毎日塗ります。

その後は、臨床症状(EASIなど)血液検査(TARCなど)

の改善に従って、計画的に

外用頻度やレベルを落としていきます。

2〜3週間に1度の外用頻度で、皮疹ゼロまで行ければ

小児であれば治療終了です

大人はまだ続きますが・・

ところで、この患者さんは、

すごく良くなりましたが、

結局皮疹ゼロにはできませんでした(下写真)

ブログ2.png

このように、重症の患者さんでは、

治療を完璧に行なっても、

寛解(皮疹ゼロ)にできない方が、

小児で1割、大人で3割ほどおられます。

よって当患者さんは、完全寛解へ導くために、

生物学的製剤 デュピクセントを開始しました(下写真)

ブログ3.png

ブログ3.001.jpeg

これにより、皮疹ゼロ

血液データも大幅に改善しました

さらに、各種スコアおよび血液データが

正常になる状態まで行います。

これを深い寛解状態といいます。

そこまで達成されれば、

大人でもそう簡単には再発しません

デュピクセントのすごいところは、

使用した方の9割以上が

この深い寛解状態を得られるところです。

どうです?

アトピー治療って計画的&定量的でしょう

適当に痒いところに、適当な頻度で、

適当な量を塗っていませんか?

アトピーが改善しない方は、

計画的に治療しましょう。

(院長)

*上記の治療は、定期的な通院が必須です。よって、小児はほぼ全員計画的に行っていますが、大人は全員に行なっているわけではありません。

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(タグ) アトピー性皮膚炎 , プロアクティブ療法 , 生物学的製剤 , デュピクセント


 2025.03.02(日)

重症円形脱毛症は治せる時代です!

当院は、毎週土曜日午後から

円形脱毛症特殊外来をおこなっています。

治療内容は、

①エキシマ療法(エキシマレーザー)

②局所免疫療法

③分子標的薬&生物学的製剤

これら①〜③を組み合わせて治療します。

下の写真は、この3つを併用した患者さんです。

脱毛.jpg

全頭型汎発型(髪の毛がほとんどない)

の患者さんの90%以上が、

このようにふさふさにできるようになりました

ここ10年の進歩は凄まじいです

10年前は、3割も治せなかった

ところで、治療についてですが、

①+②が最も多い組み合わせです。

は3割負担で1回1020円です。

エキシマ.jpg

は無料です。

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これで、7〜8割の方が改善します

残りは、が必要になります。

これは高額なため、

選択しない方がおられます

他に、長期に適切な治療ができていないために

手遅れになって受診される方も数%いますね

あまりに時間が経っていると、

毛根が破壊されて、③でも難しい

以上が、改善しない残りの10%未満の方です。

ただし③は、子供たちは医療費無料ですし、

成人も各種補助を使用すればかなり

安くできる可能性があります。

医療機関で相談してください。

とにかく、現在改善していない方は、

早く、上記の3つの治療を開始する必要があります。

(院長)

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(タグ) エキシマレーザー , 円形脱毛症 , 局所免疫療法


 2025.02.26(水)

にきび治療のデュアック・ファースト

にきび治療で最も即効性がある薬剤は、

デュアック配合ゲルです

photo-1.jpg

下図のように

効果の発現は面皰(めんぽう)治療薬の中で最速です。

よって、本気の治療のファーストチョイスになります。

デュアックファーストと呼ばれる所以です。

ざ瘡デュアックのin 愛知.001.jpeg

ただし、面皰(めんぽう)治療薬の真髄は、

即効性にあるのではなく、肌質の改善にあります。

時間がかかりますが、計画的に長く続ければ、

ものすごく綺麗な肌になります。

デュアックblog.jpg

いろんなにきび用の高額なレーザーを見てきましたが、

結局これに勝る治療はありません。

写真のように、ツルッとした美肌

になるのがこの治療の特徴です。

しかし、この治療は、

適当な通院では効果が発揮できません

定期的に通院できる、

本気で綺麗になりたい方の治療薬です。

また、この治療薬の

ガイドブック(下図)も作成しました。

表紙、なかなか良い出来でしょう

にきびが良くなって、

笑みが溢れ、

自信に満ちた若い男女を描いてもらいました

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これを使って指導します

定期的な通院が難しい方は、

この治療では、あまりうまくいきません

副作用が出やすくなるばかりです。

よって、別の選択肢があります

でも、できれば、

本気の治療を頑張ってみてください

(院長)

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(タグ) ニキビ(にきび、尋常性ざそう) , ニキビ(にきび)痕


 2025.02.26(水)

ブログ再開について

以前のブログサービスの終了に伴い、

新しいブログで再開しました。

しかし、旧ブログの記事の移行は

膨大な作業でしばらくかかります

よって、以前のブログの記事をピックアップして

新たな知見も加えて再投稿していこうと思います。

新薬や新しい治療が続々と開発されてきたため、

現在、ホームページの内容も刷新中です。

このブログともリンクさせていきたいと思っています

(院長)

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(タグ) 院長日記


 2025.02.24(月)

アトピーバイオの講演 in 金沢

先日、金沢でアトピー性皮膚炎

バイオ治療の講演会があり、

座長をさせていただきました。

IMG_0038.jpeg

バイオとは、生物学的製剤のことです。

今回は、イブグリースの会です。

イブグリースは、デュピクセントの次に

よく使用されているアトピーバイオですね

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いつもバイオの講演で思うのは、

みなさん導入することに必死で、

出口戦略(バイオの止め方)が

抜けていることです。

バイオをどのように使い、

どのように止めていくのか?

止めた後どうなるのか?

計画的な外用もせずに、適当にやめれば

半年後には再発するでしょう

当院では、すでに300例以上の

アトピーバイオの経験があり、

さらに計画的外用療法(プロアクティブ療法)

を併用しています。

よって、

出口戦略と中止後のデータはしっかりあります

この点を強調したんですが、

みなさん導入の話ばかり気にかけ、

終わり方は無頓着に感じました

高額な治療ですから、できるだけ再発しない、

しても軽症にする工夫が必要です。

(院長)

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(タグ) アトピー性皮膚炎 , 学会講演


 2025.02.23(日)

にきび治療の講演 in 大津市

ようやくブログが再開できるようになりました

本日は、滋賀県大津市で

にきび治療の講演を行いました。

チラシ.jpg

IMG_0028.jpeg

べピオローションの使い方を、

ガイドブックを使って解説しました。

5040613.jpg

べピオローションは、塗りやすくて、副作用が少なく、

化粧水感覚で塗れるにきび治療薬です。

さらに最近、この薬剤は、

にきび痕(あと)の発症を抑制する効果が

報告されています[1]

塗れば、にきびの出来にくい、

にきび痕が残りにくい肌になっていきます。

ですから、赤いにきびだけに塗っているようでは

この治療薬の真価は発揮されません

下図のように顔全体に塗る必要があります。

名称未設定.jpg

お肌を綺麗にする美容液感覚で塗って欲しいですね

ただし即効性がある薬剤ではありませんので、

ゆっくり時間をかけて、

にきびにきび痕ができにくい

綺麗なお肌になっていきます。

この薬は、顔全体に塗って肌質を改善させる薬

と考えてもらうと良いかと思います

(参考文献)

[1] Tanizaki H, Hayashi N, Abe M.J Dermatol. 2023;50(12):1513-1522.

(院長)

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 2025.01.27(月)

アトピーバイオの導入用ガイドブックと解説動画の作成

アトピー性皮膚炎の治療は、
 
既に生物学的製剤(バイオ)の時代に入っています。
 
全国では、
 
ものすごい勢いでこの治療法が広がってきています
 
しかし、まだまだ導入できていないクリニックが多いため、
 
導入用の冊子(ガイドブック)を作りました
 
子供用
ic.png
 
大人用
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特に子供用は力作で、
 
イラストもこだわりました
 
医療スタッフが使いやすいように
 
内容も単純明快に作ってあります
 
イラストや内容は、当院師長の意見を大いに取り入れました
 
医師だけで作ると、
 
内容が難しく、つまらないものになりがちですから
 
さらに先日、実際の導入場面を想定した
 
解説動画の撮影も行いました。
img_0447.jpeg
 
これらの冊子や動画を使って、
 
全国的に導入が進んでいくでしょう
 
今後の問題は、導入後どのようにこの治療薬を使い、
 
どのようにやめていくかです。
 
よく効く薬ですから、導入すれば
 
どんな重症のアトピーも良くなります。
 
しかし、適当に使えば、薬を止める時期や方法がわからず、
 
間違った時期に中止して、
 
すぐにアトピーが再発し元に戻ってしまうでしょう
 
当院ではこの点は、既に解決済みですが、 
 
まだまだそこまで到達で来ていないところが多いようです
 
導入がある程度進めば、
 
今後は導入後のノウハウが話題となってくるでしょう
 
(院長)

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(タグ) アトピー性皮膚炎 , 生物学的製剤


 2025.01.22(水)

朝の順番取りのルール

当院の受付開始は、朝8時15分からです。
 
ただし、朝6時ごろから外で並ばれる方もあり、
 
雨や雪の日に並ばれる方々が忍びないということで、
 
朝7時ごろに順番取りのボードを出すことにしました。
 
職員がわざわざ朝7時前に出勤して
 
順番に記載するボードを出します。
 
これで受付の順番が決まります
 
しかし、このボードの順番取りで結構トラブルがあります
 
並ばずに割り込んで患者さん同士で喧嘩になったり、
 
それを諌めた職員に威圧的な態度に出たりする方がいます。
 
絶対のルールは、実際にその場にいて並んでいる順です。
 
物を置いて順番取りをしていたとか、
 
一番に来ていたけど別の場所にいたとか、
 
列を無視して平気で割り込むとか、
 
ボードにすでに記載されている名前を消して
 
自分の名前を書くとか、
 
その他諸々いっぱいあるんですが、
 
上記のルール以外は全てダメです。
 
先日(1月20日)のケースは、割り込んだ方が、
 
そんなルールはホームページに記載されてない
 
と職員に逆ギレされました。
 
ということでホームページに記載した次第です。
 
こんな常識的なことまで書きたくはないんですが、
 
毎月何件かトラブルがあるので、あえて記載しました。
 
(院長&師長)
 
ボードに書いても、受付の順番ですから、まだ受付はできていません。受付開始時にボードに記載された順に名前を呼びますが、その時に居られない場合も受け付が後回しになります。ご注意ください。また、このボードは懇意で行なっていることです。職員にあたらないようにお願いします。

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(タグ) Clinic N かわら版 , 院長日記


 2025.01.20(月)

乾癬は全身の病気です!

本日は、乾癬という病気についてお話ししましょう。
 
この病気は、あまり知られていませんが、
 
国内患者数43万人以上のメジャー皮膚疾患です。
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典型的には、
 
銀白色と称せられる鱗屑(白いフケの様なカサつき)がつく
 
境界明瞭で少し盛り上がった赤い皮疹を有します。
 
それが、頭、肘&膝、臀部(お尻)を中心に
 
全身に広がって行きます。
 
さらに問題なのは、この皮膚病は内臓を侵す病であり、
 
重症では、寿命に影響を与えることが報告されています
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それは、糖尿病、高脂血症、高血圧などの合併症から、
 
心筋梗塞や狭心症などを起こしやすいためです。
 
さらに、乾癬患者さんの約15%に
 
リウマチのような関節炎が発症し、

将来関節の変形を起こしてきます

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徐々に悪化していく病気ですから、
 
適当に治療していると、将来重症化して
 
合併症で苦しむことになり、寿命も短くなります
 
初期にしっかりと治療すれば、寛解状態にすることも可能で、
 
合併症を予防することもできます
 
特に、生物学的製剤紫外線療法は、
 
心筋梗塞のリスクを下げることが知られています。
 
乾癬は、単なる皮膚病ではありません。
 
全身を蝕む病気であることを知り、
 
しっかりと治療することが大切です。
 
(院長)

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(タグ) 尋常性乾癬