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2025.04.25(金)
昨日は、京都で行われた
円形脱毛症治療薬オルミエントの
シンポジウムに出席してきました。
この薬は、JAK阻害剤という分子標的薬で、
50%以上の脱毛が半年以上続く
重症の円形脱毛症に使用します。
当院の治療(下図)の
一角を担う治療薬(④)です。
効果は、①→④の順に高くなります。
しかし、
アトピー性皮膚炎で高IgEであれば
③もかなり効果が高いです。
当院のデータですが、
IgE 500 IU/mL以上の12例の
全頭型と汎発型が全員著効しました
さらに小児は、IgEが低くても
この治療を行った3例全例が
著効しています
しかしこれは、
エキシマレーザーの併用があってのことで、
デュピルマブ単独ではこうはいかないでしょう
この③の治療は、恐らく当院が、
国内で最も症例数が多いと思います
次に④のJAK阻害剤は、
エビデンスベーストでは
最も効果と信頼性がある治療薬です。
今回のシンポジウムで、
その効果と安全性
など大変勉強になりました。
特に、fast responder(著効するタイプ)には、
まだ数年の経過ですが、
完全寛解(治癒に近い状態)
している方がおられるようです。
発症から早期の方が
著効することを考えると、
長期に放置すると
その機会を失う可能性が高くなりますね
そういった意味では、
重症型は、
とにかく早期にJAK阻害剤を試す
必要があるように感じました。
最後に、
この会を主催した
イーライリリー
の自己免疫領域開発部門のトップ
Lotus Mallbris氏と少しお話ししました
(院長)
〠918-8105 福井県福井市木田3丁目2605 にしむら皮フ科クリニックのホームページ
2025.04.23(水)
当院には、赤あざの患者さんが結構来られます
しかし、最近気になっているのが、
生後数年経って改善しないので
受診される方が多いことです
聞くと、医療機関で数年経過を見るように
言われているようです
単純性血管腫は、放置しても基本改善しません
0歳時に治療を開始するのが最も効果が高く、
早ければ早いほど良いのです。
乳児血管腫(いちご状血管腫)は、
8割は放置しても消失しますが、
2割はなんらかの痕を残します。
レーザー治療なら、5〜6回(1回/月)までに
消失するケースが多いです
生後1〜2ヶ月で治療を開始すれば、
1歳までには治るので、放置する選択肢はありません。
赤あざは、
0歳児早期から治療を開始するべきです。
(院長)
*正中母斑の一部は、自然に改善することがあります。乳児血管腫の皮下型などは内服(βブロッカー)の併用が必要になることがあります。
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2025.04.18(金)
本日は、先日行った
福井県内科医会講演会の内容の第2段、
アトピー性皮膚炎についてです。
1953年のステロイド外用剤登場以降、
多くのアトピー性皮膚炎治療薬が
開発されて来ました(下図)。
特に2018年の生物学的製剤
デュピルマブ承認からの進歩が著しい
講演では、これらの治療薬を使っての
①プロアクティブ療法、②新プロアクティブ療法、③光線療法+②
を解説しました。
今回は、①プロアクティブ療法(下図)についてお話します。
特にこの治療で大切なのところは、
最初の1〜2週間の寛解導入です。
ここで皮疹ゼロ(見ても、触ってもゼロ)
にできるかどうかで成否が決まります(下図)。
ここが一番大切!
そして、その後は、
計画的に
外用頻度、外用量、外用レベルを調節しながら
漸減中止していきます。
この治療を知っている先生が少ないため、
他の医療機関で、
勝手に外用を中断させられることが多いんです
こんなに綺麗なのになんで塗っているの?
と思われるようです。
今でも結構ありますが・・
この治療法は、
今の痒みや湿疹を治すためだけでなく、
完全寛解(治す)を目指す計画的治療なんです
次回は、プロアクティブ療法でも改善しない方
(重症の大人で約30%、子供で数%)に行う
新プロアクテブ療法についてお話します。
(院長)
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2025.04.13(日)
昨日は、診療が終わった後に、
福井県内科医会講演会で
講演をしました。
内容は、
尋常性乾癬、アトピー性皮膚炎、
円形脱毛症の治療についてです。
これら3つの疾患治療は、
ここ10年で凄まじい進歩を遂げました
その中で、乾癬(下写真)について、
ちょっとお話しします。
この疾患は、
単なる皮膚病ではありません。
徐々に進行して
糖尿病、高脂血症、高血圧などを合併し、
最終的に心筋梗塞などの主要心血管障害を起こしてきます。
さらに、リウマチのように関節炎を起こし、
将来手の変形や機能障害を残す可能性があります。
ある意味、膠原病のようにこわい病気なのです
しかし、
患者さん自身は湿疹としか理解していない方が多く、
適当に受診されている方が多い印象です
もっと啓蒙する必要があり、
最近新聞にも啓蒙のチラシを入れました。
最近も、適当に治療されている
初診の患者さんに注意すると、
すでに心筋梗塞で3度倒れていたそうです
今回は、内科の先生にも
この病気の理解を深めていただくために
講演をさせていただきました。
(院長)
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2025.04.09(水)
院内の待合室の壁に
チームラボの『こびとが住まう黒板』
を設置しました。
動画はリンク先を見てください
https://www.youtube.com/watch?v=bCUo3Xm_9Hw
ものすごく楽しいよ
是非黒板に触ってみてください
(院長)
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2025.04.07(月)
一昨日の4月6日(日)は、
金沢で開催された第41回 日本臨床皮膚科学会で
講演をして来ました。
まずはモーニングセミナー2で
デュアック配合ゲルの講演をしました
デュアック配合ゲルを使用した
本格的なニキビ治療を解説しました。
講演後に
座長をしていただいた
京大名誉教授の宮地先生と
熱いディスカッションができてよかったです
聴衆の方も勉強になったと思います
その後のシンポジウム18では、
過酸化ベンゾイル製剤を使用した
当院のざ瘡治療を披露しました。
特にべピオローションを使用した
べピオライトという使い方を解説しました。
大きな学会での連続した講演は
大変疲れました。
でも楽しかったです
それと、
もうすぐ、久しぶりに新薬が発売されます。
5%過酸化ベンゾイルのローションらしい。
楽しみです
(院長)
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2025.04.03(木)
4/4(金)午後と4/5(土)は、
石川県で開催される
第41回日本臨床皮膚科医会で講演のため休診です。
私は、モーニングセミナー2とシンポジウム18で講演します。
モーニングセミナー2では、
デュアック配合ゲルの即効性を
使った本格的なざ瘡治療を講演します
シンポジウム18では、
べピオローションを使った
べピオライトという
より簡便で、汎用性のある治療を
解説する予定です。
評判のいいガイドブックの
解説もしますよ
(院長)
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2025.03.17(月)
なかなか衝撃的な題でしょ
毎日多くの新生児をもつ母親から
保湿剤の処方を希望されます。
それも、
アトピー性皮膚炎(アトピー)を
発症していないのにです。
なぜかと尋ねると、
新生児から保湿をしっかりすれば
アトピーを予防できるからと・・
昨年末に発表されたガイドラインでは、
『現時点においてアトピー性皮膚炎の発症予防に
新生児期からの保湿剤外用は
一概にはすすめられないといえよう.』
と記載されています。
その理由は、下記表のように
1000人以上の大規模研究では
保湿は効果なし、
100〜200人程度の小規模研究では
効果あり、
となっているからです。
(アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024年より)
賛否両論ですが、
当然、大規模研究の方が信頼性が高いでしょう
ということで、最近は、
この情報をお母さんにもお伝えしています。
しっかり保湿しておけば、
アトピーの予防になるというのは、
正しいとは言えないようです。
(院長)
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2025.03.09(日)
本日は、アトピー性皮膚炎(以下アトピー)の
計画的治療についてです。
まず、初診の患者さんが来られたら、
血液検査(IgE, TARCなど)、臨床所見(EASIなど)
などで重症度を数値化します。
この数値を正常にするのが目標⬜︎です。
上写真の患者さんは最重症です
彼の皮膚の中では、下図のように炎症細胞が浸潤して
各種サイトカインを放出し、
炎が激しく燃え盛っているような状態です。
数値化は、この炎の勢いを目に見える形にしたものと言えます。
この重症度の数値に従って
外用レベル、外用量を決定して
治療目標に向かって治療をスタートします
炎症細胞を皮膚から追い出し、炎症の炎が鎮火されるまで
毎日、ほぼ全身に外用をします。
なぜ全身に塗るかというと、
アトピーの皮膚は、一見正常に見えても
必ず炎症細胞が浸潤しているからです(下図)。
ここを残しておくと
アトピーはすぐ再発して良くなりません
最初の1〜2週間で皮疹を
ほぼ寛解(皮疹ゼロ)にできるかどうかが、
この治療の成否のカギです。
ですので、最初の1〜2週間は毎日塗ります。
その後は、臨床症状(EASIなど)や血液検査(TARCなど)
の改善に従って、計画的に
外用頻度やレベルを落としていきます。
2〜3週間に1度の外用頻度で、皮疹ゼロまで行ければ
小児であれば治療終了です
大人はまだ続きますが・・
ところで、この患者さんは、
すごく良くなりましたが、
結局皮疹ゼロにはできませんでした(下写真)
このように、重症の患者さんでは、
治療を完璧に行なっても、
寛解(皮疹ゼロ)にできない方が、
小児で1割、大人で3割ほどおられます。
よって当患者さんは、完全寛解へ導くために、
生物学的製剤 デュピクセントを開始しました(下写真)
これにより、皮疹ゼロ、
血液データも大幅に改善しました
さらに、各種スコアおよび血液データが
正常になる状態まで行います。
これを深い寛解状態といいます。
そこまで達成されれば、
大人でもそう簡単には再発しません
デュピクセントのすごいところは、
使用した方の9割以上が
この深い寛解状態を得られるところです。
どうです?
アトピー治療って計画的&定量的でしょう
適当に痒いところに、適当な頻度で、
適当な量を塗っていませんか?
アトピーが改善しない方は、
計画的に治療しましょう。
(院長)
*上記の治療は、定期的な通院が必須です。よって、小児はほぼ全員計画的に行っていますが、大人は全員に行なっているわけではありません。
〠918-8105 福井県福井市木田3丁目2605 にしむら皮フ科クリニックのホームページ
2025.03.02(日)
当院は、毎週土曜日午後から
円形脱毛症の特殊外来をおこなっています。
治療内容は、
①エキシマ療法(エキシマレーザー)
②局所免疫療法
③分子標的薬&生物学的製剤
これら①〜③を組み合わせて治療します。
下の写真は、この3つを併用した患者さんです。
全頭型や汎発型(髪の毛がほとんどない)
の患者さんの90%以上が、
このようにふさふさにできるようになりました
ここ10年の進歩は凄まじいです
10年前は、3割も治せなかった
ところで、治療についてですが、
①+②が最も多い組み合わせです。
①は3割負担で1回1020円です。
②は無料です。
これで、7〜8割の方が改善します
残りは、③が必要になります。
これは高額なため、
選択しない方がおられます
他に、長期に適切な治療ができていないために
手遅れになって受診される方も数%いますね
あまりに時間が経っていると、
毛根が破壊されて、③でも難しい
以上が、改善しない残りの10%未満の方です。
ただし③は、子供たちは医療費無料ですし、
成人も各種補助を使用すればかなり
安くできる可能性があります。
医療機関で相談してください。
とにかく、現在改善していない方は、
早く、上記の3つの治療を開始する必要があります。
(院長)
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