にしむら皮フ科クリニック院長と看護師長が不定期でお送りします。

アーカイブ 『 生物学的製剤 』

 2025.03.09(日)

アトピー性皮膚炎の計画的治療

本日は、アトピー性皮膚炎(以下アトピー)

計画的治療についてです。

まず、初診の患者さんが来られたら、

血液検査(IgE, TARCなど)、臨床所見(EASIなど

などで重症度を数値化します。

この数値を正常にするのが目標⬜︎です。

ブログ.png

上写真の患者さんは最重症です

彼の皮膚の中では、下図のように炎症細胞が浸潤して

各種サイトカインを放出し、

炎が激しく燃え盛っているような状態です。

数値化は、この炎の勢いを目に見える形にしたものと言えます。

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この重症度の数値に従って

外用レベル、外用量を決定して

治療目標に向かって治療をスタートします

炎症細胞を皮膚から追い出し、炎症の炎が鎮火されるまで

毎日、ほぼ全身に外用をします。

なぜ全身に塗るかというと、

アトピーの皮膚は、一見正常に見えても

必ず炎症細胞が浸潤しているからです(下図)。

ブログ図1.001.jpeg

ここを残しておくと

アトピーはすぐ再発して良くなりません

最初の1〜2週間で皮疹を

ほぼ寛解(皮疹ゼロ)にできるかどうかが、

この治療の成否のカギです。

ですので、最初の1〜2週間は毎日塗ります。

その後は、臨床症状(EASIなど)血液検査(TARCなど)

の改善に従って、計画的に

外用頻度やレベルを落としていきます。

2〜3週間に1度の外用頻度で、皮疹ゼロまで行ければ

小児であれば治療終了です

大人はまだ続きますが・・

ところで、この患者さんは、

すごく良くなりましたが、

結局皮疹ゼロにはできませんでした(下写真)

ブログ2.png

このように、重症の患者さんでは、

治療を完璧に行なっても、

寛解(皮疹ゼロ)にできない方が、

小児で1割、大人で3割ほどおられます。

よって当患者さんは、完全寛解へ導くために、

生物学的製剤 デュピクセントを開始しました(下写真)

ブログ3.png

ブログ3.001.jpeg

これにより、皮疹ゼロ

血液データも大幅に改善しました

さらに、各種スコアおよび血液データが

正常になる状態まで行います。

これを深い寛解状態といいます。

そこまで達成されれば、

大人でもそう簡単には再発しません

デュピクセントのすごいところは、

使用した方の9割以上が

この深い寛解状態を得られるところです。

どうです?

アトピー治療って計画的&定量的でしょう

適当に痒いところに、適当な頻度で、

適当な量を塗っていませんか?

アトピーが改善しない方は、

計画的に治療しましょう。

(院長)

*上記の治療は、定期的な通院が必須です。よって、小児はほぼ全員計画的に行っていますが、大人は全員に行なっているわけではありません。

〠918-8105 福井県福井市木田3丁目2605  にしむら皮フ科クリニックのホームページ

  2025/03/09   西村 陽一

 2025.01.27(月)

アトピーバイオの導入用ガイドブックと解説動画の作成

アトピー性皮膚炎の治療は、
 
既に生物学的製剤(バイオ)の時代に入っています。
 
全国では、
 
ものすごい勢いでこの治療法が広がってきています
 
しかし、まだまだ導入できていないクリニックが多いため、
 
導入用の冊子(ガイドブック)を作りました
 
子供用
ic.png
 
大人用
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特に子供用は力作で、
 
イラストもこだわりました
 
医療スタッフが使いやすいように
 
内容も単純明快に作ってあります
 
イラストや内容は、当院師長の意見を大いに取り入れました
 
医師だけで作ると、
 
内容が難しく、つまらないものになりがちですから
 
さらに先日、実際の導入場面を想定した
 
解説動画の撮影も行いました。
img_0447.jpeg
 
これらの冊子や動画を使って、
 
全国的に導入が進んでいくでしょう
 
今後の問題は、導入後どのようにこの治療薬を使い、
 
どのようにやめていくかです。
 
よく効く薬ですから、導入すれば
 
どんな重症のアトピーも良くなります。
 
しかし、適当に使えば、薬を止める時期や方法がわからず、
 
間違った時期に中止して、
 
すぐにアトピーが再発し元に戻ってしまうでしょう
 
当院ではこの点は、既に解決済みですが、 
 
まだまだそこまで到達で来ていないところが多いようです
 
導入がある程度進めば、
 
今後は導入後のノウハウが話題となってくるでしょう
 
(院長)

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  2025/01/27   cmsadmin

 2024.10.22(火)

アトピー性皮膚炎治療の飛躍的進歩

アトピー性皮膚炎(以下アトピー)の治療は、
 
近年飛躍的に進歩し、
 
ここ数年、新薬が続々と発売されています(下図)
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特にデュピルマブなどの生物学的製剤の出現によって、
 
難治性のものも含めて、
 
アトピーは治せる時代になってきました。
 
しかし、これらの治療薬は、
 
まだまだ十分に普及しているとは言えません
 
例えば、
 
バリシチニブやウパダシチニブなどのJAK阻害剤は、
 
承認施設での使用が推奨されていますが、
 
福井県のクリニックで承認されているのは
 
当院1件だけです
 
デュピルマブなどの生物学的製剤も
 
福井県の多くのクリニックが使用経験すらありません。
  
全国的にも大なり小なり同じような傾向があります。
 
多くの患者さんが、新薬の恩恵に与るどころか、
 
その存在すら知らされていない可能性があります
 
よって、これらの治療の素晴らしさと導入のノウハウを
 
伝えるべく、各地で講演を行なっています。
 
ということで、
 
来週も北海道でアトピー治療の講演をします。
 
といってもWEB配信ですけどね
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(院長)

〠918-8105 福井県福井市木田3丁目2605  にしむら皮フ科クリニックのホームページ

  2024/10/22   cmsadmin